ちょっと泣けるお話
— 大塚 麻衣子(かつお節コーディネーター) (@AJIMAI3) 2022年12月7日
①
会社の電話が鳴った。
お名前が表示された。
名前が表示されるのは古くからのお客様。
電話に出ると、若くは無い女性の声。
かつお節を注文したいとの事で、話を伺うと、ご本人は初めてだと仰る。
ところが番号は表示されたままのものなので、疑問に思いお尋ねしてみる。
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②
— 大塚 麻衣子(かつお節コーディネーター) (@AJIMAI3) 2022年12月7日
「恐れ入ります、こちらの番号は既に登録がされている番号ですが、お間違いありませんか?」
『え?…それって〇〇〇〇で登録されているんですか?』
「あ、はい。そうです。」
『…それ、父の名前です。』
「あ、なるほど!お久しぶりのご注文でしたので、念のため確認させていただきました!」
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③
— 大塚 麻衣子(かつお節コーディネーター) (@AJIMAI3) 2022年12月7日
『こちらのかつお節だったんですね…』
「はい、丁度3年前の2019年12月7日に、前回ご注文をいただいておりました。」
しばらく女性が無言になって、そのあと、静かに鼻を啜る音が聞こえて驚いた。
声をかけてしばらく泣かれた後、落ち着かれるとポツポツとお話された。
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④
— 大塚 麻衣子(かつお節コーディネーター) (@AJIMAI3) 2022年12月7日
2020年の夏頃にお母様が急逝されたそう。
毎年実家に家族親戚が揃って、新年を祝われていたそうで、その時にはお母様が10リットル近い出汁を毎回用意しておいて、お蕎麦やお雑煮を作られていたのです。
それが美味しくて、毎年家族親戚一同孫たちの、一番の楽しみだったとか。
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⑤
— 大塚 麻衣子(かつお節コーディネーター) (@AJIMAI3) 2022年12月7日
ところが、お母様が急逝されてから、集まりのお料理を電話主様と妹さんで、残っていたレシピを元にお雑煮やそばつゆを作ってみたところ、全く味が違う。
色々試してみて、ひょっとしてかつお節が違うんじゃ無いか?と思い至られて、色々試されていたそう。
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⑥
— 大塚 麻衣子(かつお節コーディネーター) (@AJIMAI3) 2022年12月7日
そこで、兄嫁さんにうちの事を聞いたらしく、試してみようと思って、電話されたところ、大当たりで…
驚きと喜びで、涙ぐまれたのです。
毎年、年末に血合い抜きと厚削りをご注文いただいていたお客様。
これは、ハレノヒにみんなに美味しいものを食べさせたいと思われてのご注文でした。
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⑦実は、お母様の最期のご注文の電話を受けていたのは私で、よく覚えていました。
— 大塚 麻衣子(かつお節コーディネーター) (@AJIMAI3) 2022年12月7日
『毎年お宅のかつお節を頼むと、年の瀬って感じがするわぁ!』
『お宅のは、普段はなかなか使えないんだけど、お雑煮だけはそちらの枯節じゃ無いと、主人が納得しないのよぉ』
と、楽しげに仰られていたのです。
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⑧
— 大塚 麻衣子(かつお節コーディネーター) (@AJIMAI3) 2022年12月7日
その事をお伝えすると、また泣かれて、ありがとうございますと、何度もお礼を仰られました。
その後ご注文を受けて、出汁の引き方やかつお節の扱い方などをお話をして終わりましたが、最後に言われたのが
『これで、母の味が残せます。』
この言葉に、不覚にも私が泣いてしまいました。
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⑨
— 大塚 麻衣子(かつお節コーディネーター) (@AJIMAI3) 2022年12月7日
家庭の味が、脈々と受け継がれていく。
文化というものは、結局は家庭で育まれて繋がっていくものなのです。
その一欠片にでもなれていることが、嬉しかったのです。
お宅のかつお節でないと、この味にならないの!
この言葉は、かつお節屋にとって、最高の褒め言葉です。
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⑩
— 大塚 麻衣子(かつお節コーディネーター) (@AJIMAI3) 2022年12月7日
という事で、気合いを入れ直して、年末に向かいます。
いい仕事、やりましょうね!
うちのかつお節、うまいっすよ!
いかがですか😁✨